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琉球畳 [たたみ]

よくお客さんに「琉球畳が欲しい」と言われます。

畳屋用語の「琉球畳」とは昔ながらの三角イグサを裂いた草を使って手織りで織った琉球表を使い、縁を付けずに作った縁なし畳のことを琉球畳と呼んでいるのが一般的です。


縁がないから安いように感じられる方も多いですが、実際には縁付き畳の倍くらい手間がかかり、また、琉球表は職人の数が激減し、織れる職人がほとんどいないため、縁付き畳用の表の最高級と同じ程度の価格であります。(残念ながらその質は昔を知る人から見れば、「見れたものではない」と言われるほど低下しています。)
そんな訳で現在では琉球畳は超高級品として扱われています。


しかし、今の建築雑誌などを見るとほとんどの部屋で縁なし畳が入っている部屋が載っています。
これは従来の三角イグサを使った琉球表ではなく、一般的な縁付き表に使う丸イグサを琉球畳風に織った「目積表(めせきおもて)」を使っています。
従来の表に比べて1目の大きさが半分なので洗練されたイメージで、違った印象を与えます。

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目積表使用



お客さんの言う「琉球畳」はほとんどの場合この目積表で作った縁なし畳であります。
この縁なし畳を半畳サイズで作り、縦横入れ違えて敷いていく(市松敷き)がもっぱらの流行りであります

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市松敷き





平安時代から続く畳の歴史の中で、畳ははじめ置き畳として使われ、その縁の模様、大きさ、色で位が分かれていました。
それから畳が床材の一つとなって使われだしてからも高貴な人しか座れないぜいたく品でありました。

一般の人は床の上にむしろ敷いて生活していたようです。


そして江戸時代が終わり、一般庶民も畳を持てるようになりました。
しかし、お金がない人はまだ畳を買えない

そこで登場したのが琉球畳です。
琉球畳に使う三角イグサはイグサ科ではなくカヤツリグサ科であり、この草は耐久力は丸イグサの2倍、耐燃性は8倍と非常に丈夫であります。
そこに目をつけ畳の代用品として使われだしたと言われています。


昭和初期も縁付き畳はお金持ちの家にある畳で、一般家庭では縁なし畳が主に使われていました。
畳屋でも縁なし畳を作るのは親方で、一般の職人は作らせてもらえなかったそうです。


時代は移り平成、昔は庶民の畳であった琉球畳が高級化し、新たな流行を作り、高根の花であった縁付き畳が普及品となりました。
さて今後、畳はどこへ行くのであろう?


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たたみ縁バック [たたみ]

カード入れを作ってもらっているHさんから
「たたみの縁で作ったバックが雑誌に出ているよ!」
と連絡をいただきました


その雑誌は手芸雑誌で、畳の縁で作ったバックは軽くて、丈夫で、使いやすく、今流行りなんだとか・・・
確かに畳の縁は丈夫で、使用後の縁は材木屋さんとか農家が紐代わりに重宝されていますが・・

さっそくサンプルを作ってもらいました。

出来上がりがこれです。



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出来上がったものを持つと本当に軽い!!
畳の縁でできているとは思えない!!

驚きでした!!


さっそく産業祭、瀬音の湯に出品してみようと思います








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たたみ縁の可能性? [たたみ]

先日、高校の先輩から電話があって
「うちの親が畳の縁を欲しいんだってさー」とのことで、半端の長さで残っていた畳縁を持っていきました。

何に使うのかなぁ??と思っていると、縁で作ったカード入れ(名刺入れ)を見せてくれました。

その方はカーテンなどを縫っている職人さんで、「このカード入れならば簡単に縫えてしまう」とのことで
当店でも作ってもらい販売することにしました!!


畳を作る際に必ず出る半端な残り縁。
今までは捨てていましたが、こんな形で再利用できるなんて!素晴らしい!!
1、お金を出して処分していたものが、お金を生み出すものになる。
2、ゴミが減るから環境にもいい!!
3、畳と関わり合いがない世代にも畳を知ってもらう、アピールできる。

今までは畳表を使った新たな可能性を探してきましたが、今後は畳縁もその一部となります

新たな可能性の追求と行きます!!





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ヨルイチ出店 [たたみ]

今年もあきる野市の五日市商店街で行われるヨルイチに出店します
8月29日(土)16時から22時まで
武蔵五日市駅を降りて桧原方向に進み、300mくらい行った左側のたなかや店舗の中です。
(西武信用金庫の道反対側)

今年はたたみ花瓶やブックカバーなどの定番品に加え、写真立てとしても使える畳クリップボード(台付き)や和風キャンドルスタンドなどの新作とカンボジアで仕入れてきたイグサバックも販売いたします。

ぜひ見に来てください!!
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産地見学 その3 [たたみ]

産地見学の最終章です

和室に付き物は?
今ではこたつとなるでしょうが、書院造の基本としては床の間です。

今では物置き場の1つとなっている家庭が多いですが、もともとは客間の座敷飾りの1つで掛け軸や生け花を飾るスペースなのです。
身分を表す上座、下座という言葉がありますが、床の間がある方が上座になります。
江戸時代には庶民には贅沢だということで床の間を作ることが規制されていたそうです。
今ではスペースがもったいないということで作られていませんが・・・・(泣)

その床の間も板のタイプと畳のタイプがあります。
その畳のタイプに使われるのが龍鬢(りゅうびん)表と言われている初めから黄土色っぽい色をしている表です。
どのようにして変色させているのか知りませんでしたが、産地を訪れてみてびっくり!!
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太陽に当てて日焼けさせて緑色から黄土色に変色させていました。
あまりに原始的な方法に驚きましたが、話を聞くと実に奥が深い。

まずきれいに変色する草はほとんどない為、い草は最高級のものを集めてその中から厳選して1本づつ選ぶのだそうです。
そして天日干しのため、自然との闘い。
雨にでも降られてしまったらもうだめだそうです。

こうして生き残ったい草だけを使い、一般的な表よりも広い目幅で織り、龍鬢表となるそうです。
現在、市場の70%はこの工場で作られているそうで、全国から注文が来るそうです。
現地の問屋さんが「不況でもここは大丈夫だ!」と言っていました。
技術に裏付けされた信用。
最後に残るのはこれかもしれません。

ちなみに何で最初から変色した表を使うの?
と思われるかもしれませんが、一説によるとお茶の世界の「わびさび」から来ているとか・・・
千利休のわびさびの世界はまだまだわかりませんが、この龍鬢表には緑の表にはない品格を感じます。
畳表の良さは青さではなく2~3年経って変色した時の色に本当の良し悪しが出ると言われております。
人間も30歳を越えてから本当の良さが出てくるのでしょうか?
もう表替えかも?という声が聞こえてきそうですが・・・・
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産地見学 その2 [たたみ]

産地見学の続きです。

まずこのグロテスク?な表を見てください。
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畳表のまん中から触覚のような草が飛び出ていますが、この表こそ知る人ぞ知る畳表の最高峰、「中継ぎ表」です。
い草は140cmにもなる草ですが、全てが緑色をしているわけではありません。
根本は白く、先端は赤く、まん中の部分だけが緑色をしているのです。
なので安い表ほど短い草を使うので白と赤(黒色に見えます)の部分が表の中に入り、高級品は長い草を使うのでまん中の緑の部分だけを使っているのです。
この中継ぎ表はまん中で草をつなぐことにより、い草の良い部分だけを使うことができるのです。
単純に2倍のい草が必要ですし、手織りの為、2日に1枚しかできない贅沢品なのです。
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縦糸も一般的に使用されているマニラ糸を使うのではなく、大麻を繊維にして作った手作りの縦糸を使います。
某大学生が大麻栽培で問題になっていましたが、大麻で作った繊維はむちゃくちゃ丈夫だそうです。
もちろんそれをドラッグに使用してはいけませんが・・・・
ちなみに今ある縦糸は以前に作った残り物だそうです。

こんな丹精込めて作られた畳表はたたみ職人によって最高の技術を必要とされる板入れ畳として使われることがほとんどであります。
私はまだ使ったことがありませんが、1畳10~15万位するそうです。(驚)

現在、広島でもこの中継ぎ表を織れる人は数人で、織機も数台しかないそうです。
一般家庭用の畳とは無関係に近い存在ではありますが、この中継ぎ表もたたみの文化として後世に伝わって欲しいものです。
今回、織っているところを生で見られてとても良かったです。
できれば死ぬまでに一度使ってみたいものです。

ちなみに触覚?はむしってから畳にするそうです(笑)


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産地見学 その1 [たたみ]

先日、畳表の産地見学に行ってきました。

畳表の産地は熊本が国内の80%を占め、その他福岡、広島、岡山、高知、石川などがあります。
(今では中国表が全体のシェアの半分を占めているというのだから恐ろしい・・・)

その中でも広島産の草は「地草」と言われ、昔から大変質の良い高級品として取り扱われてきました。
縁つき用の表を「びんご表」ということを知ってらっしゃるお客さんがいますが、その「びんご」は備後地方の「びんご」から来ているのです!!
ちなみにスペイン語で「当たり!!」もビンゴと言いますが・・・・。

今では広島でい草栽培をしておられる方はとっても少なく、地草で織った表はとんでもない価格になっています。
広島は表の織りがうまいことでも知られ、今のびんご表は熊本産のい草を広島で織った物をびんご表と呼ぶことがほとんどです。

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これが広島のい草、「地草」です
目に優しい緑です(笑)

不思議なことに田んぼに生えている時のい草には日本人が大好きなあの癒しの香りがなく、泥染めをして、乾燥させるとあの香りが出てくるそうです。
私も14年畳職人をしていますが、その事実を今回はじめて知りました。(恥)

このい草を泥に浸けて(泥染め)、乾燥させて、織ると畳表になります。
この泥も広島産の泥を備後染土といい、高級品とされています。
この備後染土を使った表はきれいに変色していくことが特徴なのです。

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今回、当店主用の表を作っている井上さんに会うことができました。
広島でもとても腕の良い職人として有名で、良い職人が持つ雰囲気・オーラみたいなものを持っていて、「この人なら大丈夫だ」と納得してしまいました。
こういう何とも言葉にはできないけど、感じる何かを持った人間になりたいものです。
井上さんに会えた事で、より使っている表に親しみ、愛着がわきました。
「よし!!俺もいい物を作るぞっ!!」って気合が入りました。

案内をしてくれた現地問屋さんが「良い物を作れる工場はみんなゴミが散らかっていなくてきれいで、逆にクレームの多い工場はきたない」と言っていました。
野球でも「草の生え放題のブルペンでは良い投手は育たない」と言われています。
これはどこの世界も同じなんでしょうね
勉強になりました!!





新作 [たたみ]

畳和風スタンドライトのシユスタニのデザインをリニューアルしました。

高さをカットして、窓のサイズを大きくしてみました。
明かりが強くなり、なかなかいい感じです

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よくネーミングの「シユスタニって何?」と聞かれますが、これはチチカカ湖で有名なペルー・プーノの遺跡シユスタニから名前をもらっています。
マチュピチュやナスカの地上絵などのメジャーな遺跡に比べ「知る人ぞ知る」みたいなマイナーな遺跡ですが、この遺跡は周りを湖に囲まれていて高台からの景色が抜群に良くて、パワースポットです。
大昔から王族のお墓に使われていたところで、スタンドライトのデザインもこのお墓の形にそっくりです。
東側に窓が開いていて、冬至の日(日本の夏至)にはその窓から日が入り込み死者をよみがえらせるみたいな神話があるそうです。

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私のシユスタニは立川の和風ダイニングあかりのトイレに置かせてもらっています。

tatami作り in PERU [たたみ]

あけましておめでとうございます
もう2月ですが・・・・
今年初めてのブログなもので

1ヶ月何をしてた!?
と言われそうですが、2年ぶりにペルーに畳を作りに行っていました。
今回は営業活動がうまくいかずに、売れるかどうか心配でしたが、ペルーに着くとすぐに前回購入してくれた方の友達から連絡をいただき、「あなたが来るのを待っていたのよ!!」とありがたいお言葉をいただきました。
どうやら2年前に作った畳が思いのほか好評で、いろいろな方から「畳すごくいいよ!」と言ってもらい、その畳を見た方が「欲しい!!」といったふうになっていたようです。
リマの日本人社会は狭いですから、噂はすぐに流れます。
これが今回畳を作らせてもらったSさん宅です


大きな家の2階の1スペースを和風にされていて、そこに畳とくれば「心休まる癒しの空間の完成」といったかんじでした。
2人のお子さんも「たたみだ!!たたみだ!!」と日本に行ったときに見た畳との再会に喜んで、畳の上をはしゃぎまわっていました。

やはり畳は日本の文化です。
い草の香りをかいだ時のお客さんの嬉しそうで懐かしそうな表情は私の心までも温かくしてくれました。
その心中にどんな思いがめぐらされたかはわかりませんが、きっと懐かしい日本での思い出もよみがえったのではないかと思います。
自分のした仕事が誰かの笑顔、喜び、幸せにつながっていることは本当に嬉しいかぎりです。
またいつの日かペルーへ出稼ぎ??に行こうと思います。
Gracias a Peru !!


紅葉 [たたみ]

地球温暖化の影響か?今年の紅葉は遅い
12月になろうとしている今、東京の西のはずれは紅葉真っ盛りである。
近くのお寺が客間を改装し畳を入れ替えたのだが、その窓から見える1本のもみじがすばらしい。
「そうだ京都へ行こう!!」のコマーシャルにも匹敵するぐらい鮮やかで燃えるような赤がそこにある。
昔は紅葉なんてそこにある日常的な一風景にすぎなかったが、どういうわけか思わず止まって眺めてしまう自分に妙な気分である。

今回そこのお寺に入れたのが紋縁という家紋(正式にはその家の紋ではないのだが・・)が入った縁をつけた畳である。
時代劇の殿様が出てくるシーンには必ずこの紋縁が使われている。商売柄テレビに畳が映ると、どんな畳が使われているか、材料の良し悪し、技術的なことまでもついつい目が行ってしまいます(笑)
平安時代から使われてきた畳ですが、その昔、畳は今のような床材の1つではなく、板の間の上に置いて使われていたそうです。そしてこの紋の大きさ、色で位を表わしたそうです。

この紋縁を使った畳は職人の技術が問われる畳で、職人としてはかなり気合を入れて、仕事に打ち込まなければなりません。当たり前のように見えますが、1紋1紋、欠けたり出すぎたりせずにしっかり紋を出す、畳と畳がぶつかるところも紋が重なるように紋の大きさに合わせてサイズ調整する(これが大変!!)など、いつもの畳作りとは手間のかけ方が全然違います。
その分、仕事がうまくいった時は格別の満足感があります。
「そんなところまでお客は見てないよ」と思うかもしれませんが、職人は自己満足のためにも働いているのかもしれません。
もちろん誰が見ても文句のつけようのない作品、仕事をしてこそプロですよね
まだまだ修行中です


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